小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が取り組む販路開拓(売上を増やすための取り組み)の経費の一部を国が補助する制度です。「持続化補助金」の略称で呼ばれることも多く、小規模事業者にとって最も身近な補助金のひとつです。
この記事では、現在公募中の第20回公募(一般型 通常枠)の公募要領に基づいて、対象者・補助額・スケジュール・申請の流れを解説します。
小規模事業者持続化補助金とは
物価高騰・賃上げ・インボイス制度への対応など、小規模事業者を取り巻く環境は変化が続いています。この補助金は、そうした変化に対応するために小規模事業者が自ら経営計画を作り、その計画に基づいて行う販路開拓の取り組みを支援するものです。
対象となる取り組みの例としては、次のようなものがあります。
- 新たな顧客層を獲得するためのチラシ・ホームページの作成
- 商品やサービスをPRするための展示会への出展
- 新商品の開発や、提供方法を改善するための機械・設備の導入
販路開拓とあわせて行う業務効率化(生産性向上)の取り組みも対象になります。
補助上限額と補助率
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限 | 50万円 |
| 補助率 | 2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4) |
補助率2/3とは、たとえば75万円の対象経費を使った場合に、その2/3である50万円が補助されるという意味です。
特例による上乗せ(最大250万円)
要件を満たす場合、補助上限に次の上乗せがあります。
| 特例 | 上乗せ額 | 主な要件 |
|---|---|---|
| インボイス特例 | +50万円 | 2021年9月30日〜2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者だった事業者(または2023年10月1日以降の創業者)が、適格請求書発行事業者の登録を受けていること |
| 賃金引上げ特例 | +150万円 | 従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増加させること |
| 両方を満たす場合 | +200万円(最大250万円) | 上記両方の要件を満たすこと |
賃金引上げ特例を使う事業者のうち業績が赤字の事業者は、補助率が3/4に引き上がり、優先採択の対象にもなります。
注意点: 特例は「申請すればもらえる」ものではなく、補助事業の終了時点で要件を満たしていない場合、上乗せ部分だけでなく補助金全体が交付されません。特に賃金引上げ特例は給与計算に関わる細かい要件があるため、慎重な検討が必要です。
第20回からの主な変更点
第20回公募では、前回(第19回)までと比べて重要な変更があります。過去の公募で申請した経験がある方も、必ず最新の公募要領を確認してください。
① 賃金引上げ特例の要件が厳しくなった
これまでの「事業場内最低賃金を地域別最低賃金より50円以上引き上げる」という要件から、「従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増加させる」という給与総額ベースの要件に変わりました。
時給を一定額上げれば達成できた従来と異なり、賞与や残業代を含む給与支給総額で判定されるうえ、算出対象となる従業員の範囲にも細かいルールがあります。達成できなかった場合は上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されないため、+150万円の上乗せだけを見て安易に選択するのは危険です。事前に給与計算の見通しを立ててから判断しましょう。
② 広報費に上限30万円が新設された
これまで上限のなかった広報費(チラシ・看板・ネット広告など)に、補助金交付申請額30万円(税込)の上限が設けられました。ウェブサイト関連費(上限30万円・税込)と同様の扱いです。また、広報費・ウェブサイト関連費とも、その経費だけでの申請はできず、必ずほかの経費と組み合わせる必要があります。
「チラシと広告だけで50万円の補助を受ける」といった使い方はできなくなったため、広告中心の販路開拓を考えていた方は計画の組み立て直しが必要です。
対象となる事業者
「小規模事業者」に当たるかどうかは、業種ごとの常時使用する従業員数で判断されます。
| 業種 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|
| 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
| サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 製造業その他 | 20人以下 |
「常時使用する従業員」には、会社役員や同居の親族従業員、日雇労働者などは含まれません。パート・アルバイトの扱いなど判断に迷うケースも多いので、微妙な場合は専門家や地域の商工会・商工会議所に確認しましょう。
会社(株式会社・合同会社など)だけでなく、個人事業主や士業法人、一定の要件を満たすNPO法人も対象になります。一方で、医師・歯科医師・助産師、医療法人、一般社団法人、協同組合(企業組合・協業組合を除く)などは対象外です。また、申請時点で開業していない創業予定者も対象になりません。
補助対象となる経費
対象になる経費は次の8種類です。
- 機械装置等費
- 広報費(チラシ・看板・ネット広告など)※上限30万円(税込)
- ウェブサイト関連費 ※上限30万円(税込)
- 展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)
- 旅費
- 新商品開発費
- 借料
- 委託・外注費
なお、パソコンや自動車のような汎用性の高いものは対象外となるのが原則です。何が対象経費になるかの詳しい考え方は、補助金の対象経費とは?共通する考え方を解説もご覧ください。
第20回公募のスケジュール
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募要領の公開 | 2026年5月27日(水) |
| 申請受付開始 | 2026年11月5日(木) |
| 事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 | 2026年12月4日(金) |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日(火)17:00 |
| 採択発表 | 2027年3月頃(予定) |
| 事業実施期限 | 2028年3月31日(金) |
注意したいのは、申請締切の前に、「事業支援計画書(様式4)」の発行受付締切である12月4日があることです。様式4は地域の商工会・商工会議所に発行してもらう書類で、締切後の発行依頼はいかなる理由でもできません。実質的な準備期限は12月4日と考えて、余裕を持って動きましょう。
申請の流れ
- GビズIDプライムのアカウントを取得する(発行に時間がかかるため最初に)
- 経営計画・補助事業計画(様式2)を作成する
- 地域の商工会・商工会議所に事業支援計画書(様式4)の発行を依頼する
- 電子申請システムで申請する(郵送申請は受け付けられていません)
- 採択発表 → 見積書等の提出 → 交付決定
- 補助事業の実施・支払い → 実績報告
- 補助金の入金 → 事業効果報告書の提出(事業終了から1年後)
補助金は後払いです。交付決定前に開始した取り組みは対象にならず、入金は実績報告のチェック完了後になるため、経費はいったん自己資金で立て替える必要があります。
申請前に知っておきたい注意点
- 審査があります。申請すれば必ず採択されるわけではなく、経営計画・補助事業計画の内容が審査されます
- 電子申請のみです。GビズIDプライムの取得を早めに済ませましょう
- 創業型との重複申請はできません。創業してから間もない方は、創業型(別制度)とどちらが有利かの検討が必要です
- 過去にこの補助金で採択されたことがある場合、再申請には一定の条件(事業効果報告の提出完了・経過期間など)があります
まとめ
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓に取り組む小規模事業者がまず検討したい定番の補助金です。第20回公募は2026年12月15日締切(様式4の発行依頼は12月4日まで)なので、検討中の方は早めの準備をおすすめします。
「自社が対象になるのか」「どの取り組みで申請すべきか」といった段階のご相談も歓迎です。お気軽にお問い合わせください。
出典(2026年8月10日確認)
